街の家

3 住宅のバリアフリー化
 1で述べたように,我が家の家創りはたいへん長いスパンで臨んできたため,その間に家族の置かれた状況にも大きな変化が生じました。最大のものは,母が通常の移動に車椅子を使用せざるを得ない状況になったことです。もともと2世帯住宅としてある程度のバリアフリー化は考えていましたが,ホームエレベーターによる上下移動を含めた根本的なバリアフリー化を実現する必要に迫られました。
・玄関室…玄関ポーチを緩やかな勾配のスロープとし,玄関たたきと床とをステンレスバーによって仕切ることで上がり框の段差を最小限にしました。
・間仕切り戸…間仕切り戸を全て吊り下げ式の引き戸とし,車椅子での移動を容易にしました。
・トイレ…面積を広くとり車椅子のままでの使用も可能にしました。特に1階両親居室のトイレには汚物洗い用の洗面台も設置しました。
・1階両親居室…南面のベランダサッシの前には濡れ縁を設置しました。前庭ファサードのRC壁の一部を開口部とし門扉をつけることにより,救急時にストレッチャー等を搬入する際の出入り口としました。通常は,近所の知り合いが,玄関を通らずに両親と歓談できる“縁側”として機能しています。
・照明器具…母親は壁スイッチなどを操作することがままならないので居室や寝室の照明についてはリモコンスイッチが使えるものを選びました。また,廊下やトイレなどは人感センサー付きのダウンライトを配置しました。
・ホームエレベーター…3階は主寝室と子供部屋だけなので共有スペースのある2階までのエレベーターを設置しました。減額案のところでふれるべきでしたが,エレベーターを3階用から2階用に変更するだけで50万円近くの減額となりました。間取りの所でも述べましたが,我が家の居住スペースは基本的には引き戸で間仕切られていて,全開すれば1階も2階も1ルームとなります。母親は日常的には電動車椅子を利用し自らの意志で移動をしています。一家での食事時や団欒の際にはLDKで母親も一緒に楽しむことが可能になりました。また,1階寝室からシャワー用の車椅子に乗ったまま2階の風呂場でシャワー浴ができるようにもなり,介護をする家族の負担もかなり軽くなったと思います。ホームエレベーターと1ルーム仕様にできる居室空間は今の所,ほぼ理想的なバリアフリー空間であろうと思います。

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